いわて、四季巡禮。

リヴァープレス社
松本博明 著
2018年11月27日発行 B6判・256頁 本体1,800円+税

















一編およそ800字、150編を超える数の随筆集が
四季ごとに章立てられている。
その四季ごとに、自然の変化と人の暮らしの変化を描き、
旧暦との繋がりや断絶を描き、文学忌に触れる。
岩手の内にこもらず、秋田、山形、京都、遠く香川まで
出かけて風物を描く。

どれもが堅い話ではまったくなく、言葉は平明で
良く伝わる。大好きな食べ物を描くときは
読んでいるこちらも腹が減ってくる。
おにぎり、おいなり、タケノコ、シドケなどなど。

著者は埼玉で生まれ、仕事で岩手に来てもう20年になる、
民俗学・近代日本文学の教授である。
視野が広く、知識の幅と深さの次元が違う。

知識を増やし、増やした知識どうしがつながると
新たな知識は、より理解しやすく、記憶しやすくなる。
学べば学ぶほど、二次関数のグラフのように
頭は良くなっていくのである。

学問だけが学びではない。
山に生えている木のこと、川で釣る魚のこと、
大好きな食べ物のこと。
著者が民俗学の教授だから知っているのではなく、
好きなことと学ぶことをつないだ先に、
新しい世界があったのだ。

知識がなければ、視野は狭いままだし経験は積めない。
見たもの、試したことを理解して吸収することができないから、
自分自身の考えや価値観がいつまでも増えず、成熟しない。
知識とは、たくさんのことを暗記することではないのだ。

学ぶことなく、知識を持たずにいろいろ見聞きしたつもりでも、
それは「ただ目に入っただけ」のことである。
学ばなくてはならない。