中島みゆき 全歌集1975-1986/1987-2003

朝日新聞出版
中島みゆき
2015年11月30日 第一刷発行 A6判・436頁 本体920円+税


 ゆう子あい子りょう子けい子まち子かずみひろ子まゆみ
 似たよな名前はいくらもあるのに 私じゃ駄目ね

子供の頃、どこかへ出かける車の中で、
中島みゆきがよくかかっていた。
親の趣味だったはずである。

三十年近く前の当時、すでに名曲を山ほど持っていた
彼女の唄のなかで、この曲の歌詞だけは
あっという間に覚えた。
あまりにも衝撃的なサビである。

歌詞の主人公が経験したことが、単なる失恋なのか、
相手が遊び人で弄ばれた関係だったのか、
いまも詳しくはわからないまま、うまく飲み込めないでいる。

 あのこの名前を真似たなら
 私を愛してくれますか
 あのこの口ぐせ真似たなら
 私を愛してくれますか
 あのこの化粧を真似たなら
 私を愛してくれますか

哀しい。
愛されないのは、あのこに似ていないからじゃないのに。
きっとそんなことはわかっているだろうに。

本書には「詞を書かせるもの」という前書きがあるのだが、
これがまた、殴られたような衝撃を受ける。
彼女が詞を書くように、私にも文章が書けたら
どんなにか良いだろう、と思う。
思うそばから、そのことを恐ろしくも思う。