散居村の記憶

桂書房
NPO法人砺波土蔵の会 編
2015年7月7日発行 B5判変形・348頁 本体2,400円+税

















 さんきょそん【散居村】
 広大な耕地のなかに民家が点在する村落形態。

本書は、散居村の中でも日本最大とされる
富山県砺波平野の散居村が舞台になっている。

砺波のほかに、島根の出雲平野と当地の奥州市・胆沢平野を
あわせて日本三大散居村とするらしい。

広大な水田地帯に、防風林に守られた農家が
ぽつんぽつんと並んでいる風景は、
岩手の人には案外身近ではないか。
胆沢に限らず、花巻も笹間のあたりなどはそうである。

国内でも世界的にも、少数派ではあるかもしれないが
珍しいというほどでもなく存在する。

近代の住宅と違って、上代の農家は形状様式が
だいぶ定まっていて、砺波の農家などは
切妻造りの平入りが伝統的らしい。
それぞれアズマダチ(切妻)、マエナガレ(平入)と呼ぶ。

興味深いのはカイニョである。
砺波では防風林のことをそう呼ぶ。
語源は定かではないようだが、「垣内」(垣根のうち)の意で
「カイナイ」だったものの訛りではないか、という説もあるようだ。

こういう、地元のお年寄りならみんな知っている言葉や、
その言葉の意味するところを紐解くと、地域の歴史が
鮮やかによみがえってくるような話は大好物である。

地域の歴史、言葉、風習、体験を、
そこに住む人たちが中心になって寄稿して
一冊の本にする、ということが、とても羨ましい。

胆沢の散居村でこうしたまとめがあると嬉しいのだが、
ご存じよりがあればぜひ教えて欲しい。