翻訳できない世界のことば

株式会社 創元社
エラ・フランシス・サンダース / 前田まゆみ 訳
2016年4月11日刊行 B5判変形・112頁 本体1,600円+税















バナナ一本を食べるのに、何分かかるか
気にしたことがおありだろうか。私はない。

マレーシアやシンガポール、ブルネイなどで
使われるマレー語には、「バナナを食べる所要時間」
という意味の単語があるそうだ。
それが実際に何分なのかは、ひとによって違うらしい。

そういう時間単位をもって暮らしているのと、
すべてが数字で表される暮らしとは、
時間の流れまでも違うだろう。

この絵本には、私たちが普段考えていることとは
少し違う価値観が載っている。
単に、世界の珍しい言葉、というのとは違う。

あまりここに載せてしまうと楽しみが減るので、
ぜひページを開いてもらいたい。


概念はあるが、それを表す言葉はまだない、
という状態は、社会には存在する。
だが、単語はあるがそれが意味する概念がない、
という逆の状態はあり得ない。
言葉は、概念を、価値観を、考えを伝えるために生まれる。

どちらが正しいか間違っているか、ではなく、
違う価値観が存在するということを、
やわらかく伝える言葉を、この本は教えてくれる。

その言葉が、自分の知る世界をすこし広げ、
自分という人間をすこし優しくしてくれるように思う。