舊漢字字典

株式会社 野ばら社
2010年10月10日発行 B6変形・256頁 本体800円+税

















現代の常用漢字に慣れてしまって、
表題の一文字目が読めない。
調べたら、これは「きゅう」と読む。
書名は「きゅうかんじじてん」である。

「舊」の簡体字・新字体が「旧」で、
訓読みでも「ふる-い」と読ませる。

1946年、国語審議会が制定した当用漢字以前に
日本で日常的に使用されていた字体が「舊漢字」で、
古典文学や古文書に使われている。

「舊」の字は、
くさかんむり(艸)の下にふるとり(隹)、
一番下がきゅう(臼)である。

部首としての「隹」は「すい」と読み、
「尾の短い鳥」を表していた。
「ふるとり」と読むのは
まさに「ふるい」という意味を持つ「舊」の字に
使われているから。

漢字の成り立ちはほとんどが象形であり、
「舊」も例外ではない。
艸と隹で「頭髪の多い鳥」、臼は「木の穴」を
表して、つまり「みみずく」なんだそうである。

そして、「きゅう」という音が「久」と近く、
「ひさしい」という意味合いから「古い」を
意味するようになった。

漢字一文字で、この情報量である。
なかなか覚え難く理解しづらい四字熟語なども、
舊漢字で見てみると意味合いが想像しやすくなる。

想像のきっかけのための字典ではあるが、
その想像も含めて、充分に読み物なのである。