青のない国

小さい書房
作 風木一人 / 絵 長友啓典・松 昭教
2014年4月18日発行 A5判・64頁 本体1,300円+税

















「ただひとつの真実」なんてものがあると
本気で思ってるのか。
おれたちが捜査で明らかにできるのは「事実」だけだ。
その「事実」を当事者それぞれがどう受け止めるか、
それが「真実」ってやつだ。
当事者の人数分だけ「真実」があるんだ。

サスペンス小説の台詞の一部にこんなのがあった。
記憶だけはあるのだが、出展が見つけられなかった。
だから一字一句正確ではないだろうが、
主旨は概ね合っているはずだ。

本書を読んで冒頭の台詞を思い起こしたが、
『青のない国』自体はこんな殺伐とした話ではない。

内容は、現実世界にもよくある話だ。

テレビや雑誌で取り上げられていた、
有名人が褒めていた、まわりの人の話題になっている…
美しい“とされている”モノ、素晴らしい“とされている”モノ。

誰がそうしたのか、本当のところはわからないが、
そう“された”モノに群がり、一喜一憂する。
自分の基準で選んでいないから、
ブームが去るとともに忘れ去る。

青い花も青い石も、事実である。
それが伝説の青なのかどうかは自分で決める。
真実はそこにしかない。