ドビュッシーとの散歩

中央公論新社
青柳いづみこ
2016年2月25日初版発行 文庫判・208頁 本体620円+税

















「亜麻色の髪の乙女」と言われたら、
多くの人は島谷ひとみを思い出すだろう。

彼女にカバーされる前のヴィレッジ・シンガーズの歌と、
ドビュッシーの前奏曲集第一巻のうちの一曲だと、
どちらのほうが多いだろうか。

私はどちらもそれと認識していなかったが、
ドビュッシーのほうの旋律は聞き覚えがあった。
けっこうあちこちで、BGMに使われている。
ぜひ聞いてみて欲しい、皆さんご存じのはずである。

そのドビュッシー先生、髪フェチだったらしい。
そのエピソードが、本書開幕の一編になっている。
人によってはちょっと引くかもしれないが、
私は大笑いした。

20世紀で最も影響力のある作曲家として有名で、
西洋音楽の概念を新しく展開した偉人で、
気むずかしい人だったのだそうだ。

だが、そのイメージと本書に並ぶ逸話から受ける
ドビュッシーの印象は、少し輪郭がずれる。
著者の筆致の冴えもあってエピソードは面白く、
友人にはなるのは無理でも話を伺うぐらいは
したい人だった、と思わされる。