まさかさかさま 動物回文集

河出書房新社
石津ちひろ 文 / 長新太 絵
1989年6月30日初版発行 B6判・64頁 本体1,000円+税

















子供の頃から回文が好きだった。

竹藪焼けた(たけやぶやけた)
貝食べた烏賊(かいたべたいか)
私負けましたわ(わたしまけましたわ)

など、面白がってすぐに覚えて
呪文を唱えるようにぶつぶつ口にしていた。
お茶と海苔の老舗、山本山のCMも好きだった。
(もっとも、あの当時は同級生も皆が覚えていた周知の
 キャッチフレーズだった。秀逸なコピーである)

前からも後ろからも読めさえすれば
なんでもいいというわけにはいかない。
意味が通っていて、無理なく平明な言葉遣いで、
情景が浮かぶようなモノでないと面白くないのだ。

ハードルはとても高い。
自分でも作りたくて何度も挑んだが、
そのたびに挫折した。

本書の回文はわずか77篇だが、どれも文句なしに面白い。
読んだ瞬間に映像が浮かぶ。
ちなみに本書は絵本なのでイラストも載っている。
これがまた想像を誘う、良い絵なのだ。
登場する動物の姿がなんだか脳天気だったり
シュールだったり身も蓋もなかったり、
なんとも言えない良い雰囲気なのである。

読んでいて自然に頭を使わされ、軽く笑えて力が抜ける。
なぜだか知らないうちに、手の届く場所にいつも鎮座する
不思議な一冊になれる本だと思う。