信じてみたい 幸せを招く世界のしるし

米澤敬 著 / 出口春菜 イラスト
2017年5月20日第一版第一刷発行 B5判変型・112頁 本体1,600円+税
















子供時分に、誰から聞かされたか忘れたが
「朝女朝坊主」という言葉を知った。
商売人の縁起担ぎの一環らしく、
朝一番のお客さんが女性だと縁起が良く、
お坊さんだと縁起が悪いという意味であるらしい。

大人になってから急に思い出し、
商売しているひとにおもしろ半分に聞いてみたら、
「女性かお坊さんだと縁起が良い」のだと訂正された。
なにぶん、こちらは太古の記憶なので、
根拠も内容もはなはだ怪しい。

他の人は、まったく知らない人もあれば
“朝坊主丸儲け”と身も蓋もないバージョンを
教えてくれたひともあった。
いろいろ聞くうちに、女性とお坊さんに
なんだか申し訳なくもなったので、
いつしか尋ねるのをやめた。

自分では基本的に験担ぎをしないし、
占いはテレビでも見ない、本でも読まない。
読むと多少なりとも影響されるのが面白くないのである。
子どもの頃は、霊柩車を目にすると親指を
拳の中に握り込んで隠したが、今はもうしない。
しかし、験担ぎしている人を悪くは思わないし、
聞くと面白いのは今でも変わらなかったりする。

世界中の験担ぎを集めた本書を読むと、
知らなければ悪く受け取ったり面倒だったりする出来事を、
吉兆として捉えているケースが多いように思う。
嫌な気分を減殺するための措置だったのかと思うと、
験担ぎも悪くない。
幸せを招く世界のしるし、というタイトルも納得である。
信じてみたい世界の験担ぎ、では、
それこそ身も蓋もない。